ご注意
まずこれをお読みの皆様にお願いですが、現在医療機関で治療を受けられている方は、必ずかかりつけの医者に相談の上お試しください。また、自己診断は禁物です。まず医療機関の診断を受けた上でご自分の体調を正しく把握してください。
 1995年10月、私たちはアマゾンのNAPOキャンプ場でそれぞれ異なる伝統音楽のミュージシャン3人と滞在していました。シャーマンのアントニオ・モンテロ・ピスコは私の友人でジャングルにある薬用植物への捧げる曲を歌っていました。アントニオが歌い上げている間、セントルイスのマリービル大学から来ている音楽療法士のジョー・モレノが何か走り書きをしていたのは、その歌を音符に直して作譜していたのです。反面、小生と来たらブルーグラスのギタリストとベース奏者に熱中するあまり、畏れ多くもその二人の間に割り込んで座る有様でした。その以前に、アントニオにその歌をテープに吹き込んでもらい、調べたところ30種もの薬用植物の名前が含まれていて、その中にはムキュリタ(mucurita/Petiveriaalliacea)と呼ばれるオニオンに似た匂いのハーブも含まれていたのです。あとで、作譜していたジョーが同じように歌い出してアントニオをびっくりさせたのです。アントニオとジョーは一緒に歌い出し、アントニオは手に持ったシャカパの枝を振って太鼓をこするような音で伴奏をつけていました。それらはアマゾンで起こったひとときの出来事、私にはこの時の思い出がいつまでも忘れることが出来ないのです。
 私がこんなことをお話ししたのは、友のアントニオが歌った植物が呼吸器系の感染症の治療に非常に役立つ話をとても大事にしていたからなのです。もしも私が肺炎に罹ったら、米国の医者は原因をウィルスでなくバクテリアによる肺感染症と見込んで抗生物質を処方するはずです。もしアントニオだったらムキュリタかそれがなければオニオンかガーリックを処方することでしょう。
 これらの3つの植物には独特のアロマ(匂い)に硫化物成分が豊富でこれは防腐作用や抗生物質効果、抗ウィルス効果が高く、食べた後の独特の口臭は、成分が必要とされる処、つまり肺に硫化物がしっかりと行き渡っているサインでもあるのです。
 肺炎とは肺の深いところでの感染症を意味する一般的な名称です。(対照的に気管支炎は肺への道つまり気管支管の感染症なのです。)米国では現在伝染病の中で肺炎は主要な死亡原因の一つで国民全体の死亡数の第五位を占め、年間のエイズで亡くなる数より多くの生命を奪っているのです。殆どの死亡患者は2つの原因に依るようです:インフルエンザが肺炎に発展する、特にご年配の方や、他の病気の患者が病院内感染で肺炎に罹ることが多くその原因は患者の自己免疫力が病気のために低下して肺炎の原因菌と戦うことが出来ないのです。
 肺炎を引き起こすバクテリアは病院内には夥しく存在することは「健康のための消費者レポート」にも掲載され、病院の入院患者の100人に4人が感染症を発症すると推測しており、これは恐らく病院に滞在することが直接の原因であると見られています。毎年約4万人の年配の米国人が肺炎で亡くなっていてますが、こんな数字をいじっていても意味ありませんね。他にも怖い健康上のリスクもいろいろ挙げられますね、たとえばアルコール中毒やガン、臓器硬変や心臓・腎臓不全、鎌状赤血球貧血、脾臓障害や最近の臓器移植などなど。
 肺炎の原因にはバクテリアや真菌類、単細胞性原生動物、ウィルスなどなので自己診断はできませんし、ましてや自己投薬などはもってのほかです。症状は息切れや胸の痛み、咳、呼吸困難、発熱、震えのある悪寒が見られます。もしもあなたが肺炎の症状を感じたら、即座に病院に行かなければなりません。
肺炎のための「緑の薬局」

 医者の出す処方薬は必ず使うのは当然で、その上で医者に相談しながらハーブや栄養素の代替治療を試すのが良いでしょう。
"★"の数は効果の高さの指標です。
★★アストラガルス(Astragalus ( Astragalus 多種ありレンゲソウ、オウギ)
huang qi(オウギ)として知られているアストラガルスは免疫増強効果があり、西洋のエキナセアに呼応するアジアのハーブです。どちらも使わない理由はないですね。
★★バイカルスカルキャップ(Baikal skullcap/Scutellaria baicalensis フワンチン、コガネヤナギ)
 この植物の根から得られる中国での経験的薬効データは、私たちの知っているスカルキャップの近縁種ですが、広域的な抗微生物作用を示しています。インフルエンザウィルスや肺炎の原因になる数種の真菌を抑制するのです。中国の医者は肺炎やインフルエンザ、呼吸器系の感染症の治療にこのバイカルスカルキャップとアムールコークツリー(キハダの一種)のエキスを混合したものをしばしば注射につかいます。私としては注射はお勧めできません。
 でももし私が肺炎に罹ってしまったら、このバイカル・スカルキャップと私のとっておきの抗生物質効果のあるハーブ(バーベリー【セイヨウメギ】、ゴールドスレッド【オウレン】、ゴールデンシール【ナルコユリ】、オレゴングレープ【ヒイラギメギ】と/又はイエロールーツ【根の黄色い植物】)をミックスしたものを摂るでしょう。
 アジアからのスカルキャップ、バイカルがハーブショップに見つからなくても、中国漢方薬の店には置いてあるので入手は難しくないです。
★★ ダンデリオン(Dandelion /Taraxacum officinale セイヨウタンポポ)
 数多くの臨床試験でダンデリオンの効果を実証したところ、肺炎や気管支炎、上部呼吸器系感染症に効果があると薬理学者(生薬薬剤師)のアルバート・ラング博士が述べています。緑葉や根を料理して食べることが出来ます。緑葉を料理した後に残る煮だし汁(ジュース)も残らず飲むんでください。
 私の住むメリーランド州では一年中ダンデリオンを見つけることが出来るのですが、あなたの地域では無理かもしれませんね。そんなときは、乾燥ハーブで作ったお茶を飲むか、カプセル状のエキスを使うこともできますよ。
★★ エキナセア(Echinacea/Echinacea エキナケア)
 抗生物質はバクテリア(細菌)性の肺炎の兆候に使いますが、バクテリアやウィルス、真菌類のどのタイプの感染性肺炎にもお勧めできるのです、これは体内の免疫力を増強してくれるハーブなのです。エキナセアは最良のハーブの一つです。豊富な科学的研究により、このハーブがバクテリアやウィルス、真菌性のどの種類とでも闘うことがわかっているのです。エキナセアはお茶や濃縮チンキタイプなど大変ポピュラーに出回ってきています。
 肺炎になってしまったら、このハーブのチンキをティースプーン1,2杯をジュースやお茶に混ぜて一日数回は飲むのはどうでしょう。(エキナセアは飲んだ直後に舌がしびれるような感覚がありますが、これは害のあるものではありません。)
★★ ガーリック(Garlic/Allium sativum ニンニク)
 シアトルにある米国でハーブ療法師を教育する最も権威のあるバスチーユ大学の薬用植物学部長のメアリー・ボブ博士は妊娠八ヶ月の時に肺炎に罹ってしまったのです。医者は予想通りに抗生物質を処方したのですが、彼女はそれらをすべて拒否し、ガーリックを一日6から10粒をきざみ、エキナセアと一緒に食べ始めたのでした。その二日目には気分が良くなり始め、なんと2週間で治癒したのです。ボブ博士のこの処方は、彼女自身の自然療法の実践で肺炎の治療法だったのです。他の自然療法士だって同じことしています。
 オレゴンのポートランドに位置する自然療法医科大学の教授ジル・スタンスバリー博士は、「呼吸器系と消化器系の感染症にはガーリック効果を利用したい」と生徒達に勧めています。実際、ガーリックは感染症を治療する私たちの最も身近にある驚異の生薬と言うことが出来ます。
★★ ゴールデンシール(Goldenseal/Hydrastis canadensis ナルコユリ)
 アメリカン・インディアンはこのゴールデンシールをあらゆる種類の感染症に使っていたが、移住した白人たちはその効果が大きいのに気づいてからこのハーブを生活に取り入れたのです。結果的にはゴールデンシールには2種の抗細菌成分のヒドラスチンとベルベリンを含有しているのです。このハーブを使うには自然食品店でチンキ状の商品を買い求めてパッケージの使用法を良く読んで従ってください。
 同様の作用のある他のハーブとしては、バーベリー、ゴールドスレッド、オレゴン・グレープやイエロウ・ルーツがあります。それらはすべて単体で使っても良いですが、幾つかの種類をミックスして使うことをお勧めします。私としては肺炎の治療の為の幅広いプランの一部としてこのゴールデンシールをお使いになることを奨励いたします。
★★ ハニーサックル(Honeysuckle/Lonicera japonica スイカズラ)
 中国のハーバリスト達は肺炎や気管支炎、流感や風邪の治療にハニーサックルを提唱していますが、花部だけを注射用にしたものを使っています。私としては、このハーブを注射剤としてはお勧めできませんが、経口的に使うことは良いと思います。
 花部のエキスは多くの種類のバクテリアやウィルスに対して強力な効果を得られるので私自信で使うには躊躇しません。夏にこの花を摘み取りカップ一杯の水に同量の花を煮出して、漉したもの飲みます。冬だったらツルから乾いている葉をむしり取って、お茶にしたものを使います。
 さらに効果的なのは、ハニーサックルとフォーシシア(レンギョウ)を組み合わせて使う方法です。フォーシシアにも数種の防腐作用成分と抗ウィルス成分を含有しているのです。冬期には、ハニーサックルの小枝とフォーシシアにレモネードの粉末を甘味料にして作ったお茶を飲むのが私の楽しみなのです。
★★ オニオン(Onion /Allium cepa オニオン)
 オニオンはガーリックととても近い種で、多種類の硫化物質の成分を含みます。殆どのハーバリスト達はガーリックはより効果的だと考えていますが、オニオンも十分に効果が得られるはずです。
 オニオンスープは肺炎を含む呼吸器系の症状にお勧めします。もしあなたが風邪や流感、気管支炎、肺炎の時にチキンスープを欲しいときにはそのレシピーにはオニオンとガーリックを加えることを確かめて頂きたい。
★オーシャ(Osha/Lomatium dissectum 和名不詳)
 アメリカインディアンは呼吸器系全般の不快症状(肺炎、インフルエンザ、風邪、気管支炎、結核、花粉症やぜんそく)にパパイアやディル(イノンド)よりはむしろこのハーブを使っていたようです。ある自然療法家達がこのハーブを肺炎の治療の役に立つか臨床的な試みをしないかと私に話を向けてきたのですが、おもしろい話だと考えています。それまでは、アメリカインディアンがしたように、この根をガムのように噛むのも良いかもしれません。
★サンデュウ(Sundew/Drosera モウセンゴケ、多種あり)
 サンデュウの主な成分の黒鉛は肺炎の原因になるバクテリアを抑制するのです。このハーブには咳止めの成分も含有しています。ドイツのハーブ専門家の政府機関のコミッションEは、肺炎を含む呼吸器系の症状にこのハーブのチンキを一日ティースプーン2杯摂ることを勧めています。