質の高いハーブを収穫するために

 一部のハーブ専門家はハーブにまだ露が残る早朝に収穫するのがよいといいますが、どうでしょうか。露がハーブの薬効成分や芳香成分をを薄めてしまうことになるのでは?
 植物の化学成分が最大の状態で収穫したいのだから、暑く乾燥した日の”ハーブがしおれる前”に収穫するのが良いと言われています。
 根茎は春か秋が収穫に最適。樹皮はおそらく春がよいでしょう。食べるための種子は乾燥して固くなる前に種を収穫するのがよいでしょう。もしも来年また育てるためだったら種はそのまま良く乾燥してから収穫してください。
 生ハーブは自由な感覚で料理などに使いたいもの。新鮮な料理用ハーブやスパイスは最高の味を発揮してくれます。生ハーブは冷凍しても使え、乾燥させたりチンキを作ったりします(生ハーブを収穫するときはプラスチックのバッグに入れると湿度を保ち乾燥から守ります)。
ハーブ類を保存したい

 ハーブを保存しておくもっとも手軽で安価な方法はよく乾燥すればよろしい。
 収穫したハーブを茶紙袋(プラスチックよりもよい)に入れ、ハーブ名と収穫日を記入。
 袋にぎゅうぎゅう詰めしていなければほとんどのハーブはバッグの中で乾燥してしまいます。一週間後に一度中身を新聞紙の上に広げてみて、もし乾燥が足りなければ日陰に干してカビが付く前に、良く乾燥させてください。あなたの住む天候により乾燥の度合いは変わりますので、もし湿気の多い気候であればオーブンで乾燥させてもよいでしょう。
 乾燥したハーブはそのまま茶紙袋かプラスチック袋に詰め込んで保存できます。ふた付きのガラスびんでもよろしい。光、熱、酸素はハーブの薬効の敵、地下室とか熱源から離れた戸棚の涼しい暗いところで貯蔵してください。
 酸素によりハーブの薬効成分は酸化するのでハーブ容器にはハーブを出来るだけ詰め込み空気の量を少なく、ハーブが減ってきたら小さい容器に入れ替えていくこと。
「緑の薬局」ハーブの使い方いろいろ

 薬用ハーブの活用法にはたくさんの方法があります。日頃何気なく使っている料理の調味料や薬味、お茶などで知らずに治療効果の利益を得ている場合も沢山あるでしょう。皆さんが特にビタミン剤やミネラル剤を補助食品として補給していることはとても結構なことだと思います。でも、400gの果実や野菜には5Kg以上の精製された栄養補給剤よりも多くの有効な成分が含まれているのです。
 ハーブの上手な取り入れ方は常用食にミックスすること、普通「薬」と「食べ物」とは区別していますが、医食同源の考え方に立てば違いはないはずです。たとえばニンニクは食べ物でしょうか?それとも薬でしょうか?正解は両方の働きをしています。料理用のスパイスの全てをこのレポートのなかで同じように考えていきます。
癒しの食事

 身体を癒すための食事としては、すぐに思い浮かぶのが大盛りの野菜サラダや野菜スープ(野菜がタップリ入ったミネストローネ)、ミントやバジル、シナモンなどのハーブをトッピングしたフルーツサラダがありますね。
 1990年初頭、国際健康学会(NIH)で、植物に含有するエストロゲン(女性ホルモン:フィトエストロゲン)が乳ガンのリスクを減少させたり、食用植物に含まれる化学物質が健康な体を保持する効果があることを認定しています。
 ほとんどの豆類にはフィトエストロゲンが豊富に含有する事が解っています。乳ガンを予防したい人は大豆スープや大豆サラダや豆腐などを週に数回食事に取り入れると大きな効果が期待できます。
 さらに一日に5種類の野菜や果実を食事に取り入れることで各種成人病(心臓病、糖尿病やその他の疾患)の危険からかなり逃れることが出来る報告もされています。さらに理想を言えば、一日に5種類のフルーツと5種類の野菜、5種類の調理用ハーブ、料理の付け合わせに5種類のナッツを摂取したいものです。
 ギリシャの医者として有名なピポクラテスは「食べ物はあなたにとって薬と思いなさい。」と言ったとか…。ハーブを使ったお料理のレシピーも若干ですが掲載してあります。
お茶を楽しみながら…

 お手元にあるドライハーブでおいしいティーを楽しみましょう。粉末状のハーブでも大丈夫。春や夏などには出来れば生ハーブを使ってみたいですね。だって風味の良さは生ハーブ以上のものは無いんですもの。生ハーブとドライハーブの違い?水分量の違いだけです。ドライハーブになった後でもしばらくはハーブにふくまれる成分はそのまましっかりと含有されています。植物化学的(フィトケミカル)には乾燥ハーブが研究対象になっているようです、理由は水分が少ないから扱い易いのです。
 生ハーブには水分が80%、ドライハーブには20%だけ。だから同じ重さだったらドライハーブの方が有効成分をよりたくさん含むというわけ。ハーブティーにはドライハーブを使われている方、同じ薬用の効果を生ハーブに期待するのだったら4倍の量の生ハーブをお使いください。これは含まれる水分量の関係です。
煎じる方法か浸出法か?

 漢方薬のように煎じ出す方法とお茶のように浸出する方とがあります。嗜好的に飲むのであれば熱湯にティーバッグを浸して飲めばよろしいですが、薬効ハーブ茶を作るのであれば10分から20分くらいは熱湯に浸しておきハーブの薬効成分を十分引き出すことが肝心です。
 薬用茶を作る方法は、沸騰したお湯にハーブを浸し、お湯が冷めるまで待つ。そのまま飲んでも良いし、弱火で暖め直しても良いですね。
 逆に水から煮出す方法もあります。弱火でトロトロ煮だして10分から20分でできあがり。
 花や葉を使うときには熱いお湯に浸すだけで成分が十分に引き出せますが、根茎や枝が材料の時には煎じ出しでないとその成分が抽出しづらいようです。
 あまり方法には神経を使わないでも、ハーブ茶を手軽に楽しんでいただければ結構です。
 特に初めて試すハーブでお茶を点てたり料理に使うときにはちょっと慎重になってください。最初はスプーン1,2杯から抽出又は煎じてください。薬用ハーブの中には苦みが強く味は期待できないものもありますよ。
 そんなハーブを濃い味で飲みたいときにはレモネードのようにお砂糖で少しばかり助け船を出して上げるのも方法ですね。お茶に酸味が感じられるのは薬効の成分がしっかり抽出している証拠です。
 ハーブにはそれぞれ薬効があることをご注意ください。あなたの服用量に応じて身体は反応していきます。リラックス効果のあるハーブをたくさん使って過度に鎮静効果が出すぎてしまったときは次からは弱めになるよう使用量を調整すること。
 人によってアルコール許容量が違うようにハーブの持つ化学物質への反応もそれぞれ違うのです。一般的に言えることは、一日に飲む量は1杯から3杯程度にしておくのが適当ではないでしょうか。いずれにしろ、一日にハーブティは4杯以上飲まないように忠告しておきます。
「緑の薬局」ハーブの使い方いろいろ #2

チンキ液と酢漬け

 古典的なチンキの作り方はハーブの材料を飲用アルコールに漬け込む方法です。焼酎やウオッカのような安いものでもよく、アルコールの薬効エッセンスの抽出能力は抜群です。簡単にチンキを作れますのでお好みのハーブチンキをお試しください。
 使うアルコール濃度は20%くらいから100%の純粋アルコールが使えます。ハーブ60グラム当たり500ml程度のアルコール量が適当でしょう。時々ビンを振って約1週間くらいつけ込んだあとハーブ材料をろ紙でこし出し、材料は捨てます(なるべくなら肥料に再利用すると良い)。抽出液はビンに入れて貯蔵します。
 チンキ液はスプーン一杯程度をジュースやハーブティ、料理にも活用します。ハーブの酢漬けもアルコールよりは簡単に出来る方法です。アルコールの時と同じ比率でよいでしょう。できあがった酢はそのままサラダドレッシングに使え、特に肥満気味の方には良いです。スープに加えたり、野菜料理に使ってください。
湿布につかうときは

 生ハーブかドライハーブをしめらせたものを細かく刻んで皮膚の患部にあてがい、その上にすぐ乾かないように湿らせた布地を当て包帯などで固定します。なお、ハーブは刻んだあと蒸したり、揉んで柔らかくした状態で使うと患部に良く付きハーブの薬効成分をより有効に利用できます。ハーブ療養士はハーブ湿布を作るときハーブ1に対して、水、アルコール又は酢に小麦粉3の割合で混ぜ込み団子状にして使いやすい状態にしています。
 危急の時にはハーブをボール状に丸め、そのまま使っても良いでしょう。
 ハーブを湿布にして使っても内服すると同じように皮膚から成分が吸収されるので良い結果が得られるでしょう。
軟こうにして使う

 市販の多くの軟こうはハーブが使われているので、軟こうを自分で作るよりかは、市販品を使った方が無難な場合が多いようです。少しやっかいですが、ホームメードのハーブ軟こうを作ることができます。
 軟こうを作るには数種類の薬用ハーブをまぜて、水、蜜ろう、ラードやラノリンなどの動物性油脂、コーンオイルマーガリンオリーブオイルサフラワーオイル等の植物性油脂で混ぜ込みローションにします。良く慣れないと固すぎたり柔らかすぎて失敗が多いようです。
是非試してみたければ次の方法を…
 砕いて粉末状にしたハーブを鍋に入れ同量程度の水を加え、弱火でトロトロと15分から30分くらい煮詰めたものを、さまします。さらに植物オイルを加えて、とろ火で残った水分を蒸発させます。15分から30分程度でしょうか。最後に蜜ろうを加えて(必要であればさらに油脂類を加えて希望の粘度に調製)できあがり。
 冷やして保存しておけば1年くらいの保存はきくようです。軟こうは湿布よりかは使いやすいので重宝するでしょう。
アロマテラピー(芳香療法)の癒し

 アロマテラピーはハーブのエッセンスオイルに含まれる芳香による治療です。アロマテラピスト(芳香療法士)はしばしばミント類の精油を中心に、鎮静効果のあるラベンダーや興奮効果のあるローズマリーなどを使って治療効果を上げているようです。
 ガラスの小瓶に入った精油は非常に濃厚でマッサージにも使われます。ただし、精油は薬効成分が非常に濃厚なので皮膚にそのまま使うと刺激が強すぎてかえって有害なものが多くあります。植物オイルまたはローションなどで薄めてから、マッサージなどに使ってください。薄めたラベンダーオイルを皮膚にマッサージしておくと吸収されてあなたの吐く息にラベンダーの香りがするはずです。
 精油の楽しい使い方としてはお風呂に数滴たらす法もお勧めです。(お風呂には生ハーブやドライハーブを布袋に入れても楽しめるでしょう)。お好みに調合したハーブ風呂は、その成分が皮膚から良く吸収されるので、治療効果も上がります。
 もし、不眠症でお悩みだったら鎮静作用のラベンダーとメリッサでも良く知られているレモンバームをお風呂に使ってみてください。神経が安らぎ眠りにつきやすく熟睡が期待できます。
 精油はどんなものであれ絶対に飲用摂取しないこと。多くの種類の精油が有害でティースプーン半分の量でも致死量になるものもあります。(ごく一部の精油には十分に薄めれば飲用摂取できるものもありますが、経験の深い専門家に良く聞いて確かめてからにしてください。
いよいよ、次回から本編の各症状別「緑の処方箋」に入ります。いままでハーブの利用法の基礎的な知識(皆様にはご存じの事が多かったと思いますが)を基にお役に立てていただければ幸いです。
このコンテンツは、ジェームス・デューク氏の著書「緑の薬局」を、日本向けに翻訳しつつ補完したものです。