ご注意
まずこれをお読みの皆様にお願いですが、現在医療機関で治療を受けられている方は、必ずかかりつけの医者に相談の上お試しください。また、自己診断は禁物です。まず医療機関の診断を受けた上でご自分の体調を正しく把握してください。
 これを書いている私(J.デューク)は60歳後半ですが、本音を言うとやはり老化は怖いものです。
 101歳で亡くなった祖母の最後の10年はすっかり足腰が衰えてしまい、祖母を見ていると切ない思いがしたものです。その当時、98歳の母とともにいたたまれない日々を過ごしました。人生の最後の時まで寝たきりにならないで過ごしたいものです。
老化の要因

 植物学者として、特にハーブには老化の進行を抑止する力あることが興味をひきます。しかし、若さを保つ効果のあるハーブをどんなに摂るよりも、生活習慣を考え直す方がもっともっと大事なことだと言わざるを得ません。
 だから効果のあるハーブについて述べる前に、生活習慣の見直しをしっかりしないと何の意味もないことになります。その上であなたが試したい老化予防効果の高いハーブ治療の基礎を創っていきましょう。
 医者でもない私が処方は出来ませんが、自信を持ってお勧めできる根拠は、中年になる私の娘がそれらの方法で毎日ねばり強く仕事をこなし、また活気ある若さを保っているのをこの目で見ているからです。時計を元に戻したい方、年齢は問いません、次に述べる内容は男性にも女性にも良きアドバイスになるはずです。
●毎日、抗酸化作用のあるハーブ茶を2杯飲む!

 抗酸化物質はフリーラジカルを中和する物質です、フリーラジカルは体内で自然に発生する毒性のある酸素分子で身体に有害な物質。老化の進行には重要な役割を演じています。ほとんどのフルーツと野菜にはフリーラジカルを消す抗酸化物質を含んでいます、もちろん多種のハーブにもです。もしあなたがコーヒー飲みだったら2杯だけはハーブ茶にしましょう。研究の結果では効果の高いハーブにオレガノ、ローズマリー、レモンバーム(メリッサの名でも知られます)ペパーミント、セージ、スペアミント、セイボリー、タイムなどは抗酸化物質がかなり含まれています。
●毎日、一度はサラダ料理をどっさり食べる

 もしパースレーン(スベリヒユ、またはツキヌキヌマハコベ)とかチコリ(キクニガナ)のような野草が手に入ればいつものサラダもバラエティ豊かになるでしょう。
 この緑の葉には抗酸化性の栄養素がどっさり含まれていて、年配になるほど危険性が増す成人病の心臓病、ガンやその他の変性疾患の危険性からガードしてくれます。
 通常、緑色野菜には抗酸化物質がより沢山含まれ、緑が濃くなればなるほどその成分も増えていくことがわかっています。
●毎日、2種類程度のブラジルナッツ(木の実)を食べる

 ブラジルナッツには抗酸化ミネラルのセレンが豊富に含まれます。
 セレンの一日必要量は70マイクログラム(千分の70グラム)。
●毎日、一掴みのひまわりの種を他の少々のナッツとともに食べる

 ナッツや種子の中でひまわりの種には他のナッツ類の平均以上のビタミンEが含有、しかも安価に入手出来るのがうれしい。ただし、あなたのウエストラインが気になる人にはナッツ類は一日30グラム以内に抑えた方がよいでしょう。ナッツは高カロリー食品なのです。
●毎日、ブロッコリ、ニンジン、茎セロリのどれか一つを食べる

 どれも食物繊維の宝庫です。ブロッコリとニンジンにはベータカロチンがたっぷり、これは体内でビタミンAに変わって強力な抗酸化物質になります。
●毎日、フルーツジュースを飲む

 どんなフルーツでも良いですが、缶飲料のように果実の繊維を取り除いたものはダメ。リンゴ、ミカン、オレンジ、バナナ、グレープフルーツ、メロン、ベリー類(ストロベリー、ブルーベリーなど)をミキサーにして漉さずに食物繊維も全部を飲みます。豊富な食物繊維はあなたの消化器官に絶大な効果をもたらします。
 お好みで無脂肪のヨーグルトかシナモンを加えても良いですね。
 著者の特製ドリンクはリンゴ一切れ、ニンジン2切れ、ライム数房、グレープフルーツ一個と水を少し、甘味料としてステビア(健康食品店で購入できる。この人工甘味料用ハーブひとつまみ程度)全部をミキサーします。
●毎日の食事の一皿を肉料理から野菜料理に替える

 毎日肉料理を食べている方、アボガドかカボチャのスープはいかが?このスープにオニオンやトウガラシかチリペッパー、ガーリック、レモンジュースを加え、ヘーゼルナッツ、マカデミアナッツ、ピスタチオ、カシューナッツ、ピーナッツなどを刻んでふりかければ出来上がり。ナッツ類は単不飽和脂肪酸が豊富で有益な脂肪として心臓にはたいへんに良いものです。ただし、肥り気味の人はナッツ類を控えめにしてください。カロリーが高いですから。(訳者注:国によって食習慣に違いがあり、日本では魚介類からも動物性タンパクを取っているので、肉の取りすぎは余り心配しないでも良いと思います。)
●オリーブオイルを使う

 コーンオイルや他の植物オイルはポリ(多)不飽和結合のオイルです。しかし、オリーブオイルは単不飽和オイル。二つのオイルの違いには複雑な化学的説明が必要ですが、オリーブオイルの単不飽和オイルには身体にとってより良い理由があることだけ知っておく必要があります。サラダドレッシングにはオリーブオイルを使う事を強くお勧めします。
●季節の旬の野菜や果実を、幅広い種類を食べる

 そして質の良いハーブや豆科の植物、ナッツやスパイスを食べてください。我らの先祖はそんな食べ物で過酷な環境を生き延びてきたのです。現代食といわれるバーガーやピザ、アイスクリームやジャンクフード(クズ食品)では必要な滋養分は摂れません。
●あなたの愛する人と規則正しく愛情を交わす

 特に説明しませんがあなたにとっても大事で必要なことです。
●毎日、散歩する

 天候が許せば外に出て活発に30分ほど散歩、日よけの準備をしっかりしてください。自然界と親しくして、くつろいだひとときを過ごすこと。地球やあなたの周りの不思議な生態系に思いを馳せ、自然界に好意を持って畏れず、宇宙のエネルギーをもらうつもりで深呼吸してください。そして、流されない人生の生き方を考えることをお勧めします。
●タバコはやめる

 説明不要!
●アルコールは飲まない

 もしあなたが飲酒の習慣があれば一日2杯まで、毎日の飲酒は止める。あなたの肝臓に休暇をあげること。毎年数週間アルコールと常用薬を全て止める。(医者が服用を指示した薬は除く。)
 肝臓はあなたが飲んだアルコールや薬物、環境の汚染物質を分解解毒するために一生懸命働いています。この肝臓に休息を与えるのは感謝の気持ちです。
●日光浴は習慣にしない

 あなたの体内でビタミンDを創るための日光浴はおそらく十分すぎるくらいしています。アウトドアでの日光浴は度を超さないように。
●生き死にを深刻に考えない

 こんな事で悩むこと自体が身体に悪い。今生きていることに感謝!
●ダイエットの流行を追わない

 フルーツとかニンジンなど、数種類の食べ物でのダイエットは絶対に良い方法ではありません。
若返りのための「緑の処方箋」

 本当は、悪い生活習慣を変える方がどんなハーブ療法より効果があるんです。でも荒れた健康状態を元に戻す為に知っておいた方が良いハーブもいくつかあります。
"★"の数は効果の高さの指標です。
★★★ Ginkgoイチョウ (Ginkgo biloba)
 神経学的に老化を抑える効果のあるたいへん興味をそそるハーブです。
 ヨーロッパの研究では脳への血流を促進する効果が認められています。ある研究ではイチョウがアルツハイマーや痴呆の患者の集中力、社交性、記憶向上の役に立っているとの結果を出しています。ヨーロッパでは多くの高齢者にこのハーブのエキスを定期的に摂取させた結果、知的能力が向上したとの結果が出ています。脳へ行く血流を増すイチョウの能力はかなりの高齢者の方々の役に立っているとの結果も出ています。
 記憶力や集中力を改善し、気分を高揚させたり、耳鳴りやめまい、不安感を和らげます。堂々として威厳あるイチョウの木は日本と同様に米国でもどこでも見られる樹木ですが、樽一杯の葉っぱから数日の手間で有用な抽出物が得られます。
 一般的には健康食品店でこのイチョウのエキスを購入するのが手っ取り早いでしょう。ここだけの話、フルーツジュースにこの葉っぱを2,3枚ブレンドして飲んでいるんですよ、ボケの症状が出ないうちにね。
 あなたがイチョウのエキスを試すんでしたら一日に60から240ミリグラムで十分これ以上摂取してはダメです。多量に摂取しすぎると下痢をしたり興奮や不眠の原因になります。
★★ アメリカニンジン(American ginseng、Panax quinquefolius)とチョウセンニンジン(Asian ginseng 、P. ginseng)
 中国や韓国ではチョウセンニンジンを若さの泉として尊敬しているそうです。
 年輩者の強壮剤として肌や筋肉に張りを与え、食欲を増進、消化を助け、枯れた性的エネルギーを盛り返します。ただし若い方にはあまり効果5c はないけど、高齢の人ほど若返った気分を味わえると中国の人は主張していました。
 チョウセンニンジンは米国の医師の間で徐々に支持を集めています。
 虚弱体質の人とか高齢者、慢性病患者の体力増強が必要なときにしばしばチョウセンニンジンを勧めています。
★★ エキナセア(Echinacea, various speciesエキナケア[菊科])
 このハーブはロッキー山脈東方の大平原地帯に自生し、根茎はもっとも重要な免疫割賦剤として立証され、エイズ研究者の間で研究されています。また、ドイツの調査研究では抗菌作用が強く、風邪と流感など全ウイルス性の疾患の予防と治療、バクテリアや菌性の空気感染の予防に高い効果を発揮することに感動を覚えます。
★★ イブニング プリムローズ(Evening primrose/Oenothera biennisメマツヨイグサ)
 愛らしく宵に咲き出すこの花の種にはガンマレノリン酸という物質が豊富で近年その働きが非常に研究されていて、ある症状(月経前症候群(PMS)、湿疹、慢性皮膚障害、疥癬、糖尿病性多発性神経障害、アルコール中毒症、肥満など)を緩和する働きが見られるということです。また、うれしいことには死因の上位に上げられる心臓病やガンに対してもその有効性が見られるとも言われています。
★★ ガーリック(Garlic/Allium sativumニンニク)
 天然の抗生物質の働きの他に、抗ウイルス効果や、ガーリックには高コレステロールレベルや高血圧を低減する働きがあることが知られています。血液をサラサラにしてくれる働きでも日本では有名ですね。それに日本で発表された研究論文にはガーリックの生理的働きについて、加齢による脳細胞の減少を抑える動物実験がなされている言うことがあります。これは動物実験のレベルのままでおいておく手はない訳で、ガーリックを毎日の食卓にどんどんお使いになることをお勧めしたいものです。
★★センテラ(Gotu kola/Centella asiaticaつぼくさ)
 インドで広く使われているハーブで、記憶力を改善し、寿命を延ばす力があります。
 使う場合は、普段飲むお茶にセンテラを生ハーブでもドライハーブでもティスプーン1~2杯加えて飲んでいただくか、野菜サラダに少々散らせていただきます。
★★ ミルクシスル(Milk thistle/Silybum marianumおおあざみ)
 これは私のとっておきの肝臓保護ハーブ。肝臓は薬物や毒素を解毒していて、現代では特に激しい環境に置かれています(心当たりがある人は多いはず)。
 アルコールを飲む人、合法非合法に係わらず薬物を服用する人、環境汚染物質にさらされている人にはこのハーブが福音になるでしょう。
★★ ペパーミント(Peppermint/Mentha piperitaセイヨウハッカ)
 ペパーミントの働きに感謝、消化不良や胃痛を和らげてくれます。それに抗酸化作用が大きくガン、心臓疾患、その他加齢に関連する病気から守ってくれます。
★★ サマー パースレーン(Purslane /Portulaca oleraceaすべりひゆ)
 ウインターパースレーン(ツキヌキヌマハコベ)とは同種ですが、異なります。並はずれて抗酸化成分が豊富で、ハーブの中でも抗酸化物質のビタミンA、CとEはダントツの含有量です。それにグルタチオンという化合物が豊富で、生体内の酸化還元の機能に重要な働きをし、これは免疫システムの増強と抗酸化作用の両方に強力に有効であると言われています。グルタチオンについて言えば、この老化予防の効果が大きい野菜としてはアスパラガス、ブロッコリ、キャベツ、カリフラワー、ジャガイモとトマトです。果実ではアボガド、グレープフルーツ、オレンジ、桃、スイカなども抗酸化物質が豊富に含有しています。
★★ タイム(Thyme /Thymus vulyaris)
タイムにも若返りに有効な別の成分が含有しています。タイム漬けの毎日は効果が期待できそうです。あったかなお風呂に一握りのドライハーブを加えればタイムの芳香成分が背中のコリを癒してくれるのです。
 ヒーリング効果を持つタイムはお料理の風味付けとして最も良く知られていることは皆さんもご存じのことと思います。
★★ ホワイトウイロウ(Willow/Salix, various speciesヤナギ)
 このヤナギの樹皮はアスピリンの成分の原型なんです。ですから頭痛や歯痛、関節炎や各種の痛みを和らげてくれます。さらに心臓発作や直腸ガンの予防にもなります。
★ カモミール(Camomile/Matricaria recutitaカミツレ、カミルレ)
この良く知られるハーブにはマイルドな精神安定剤の薬効と同時に消炎作用成分もあるので関節炎を楽にするでしょう。
★ ホーステール(Horsetail/Equisetum arvenseスギナ)
 加齢に伴いホルモンの活動も衰えてきます、動脈や皮膚に含まれるミネラルのシリコンも減少します。
 シリコンは骨や軟骨、骨の連結組織の修復に大変重要な役割を果たします。ホーステールにはこのシリコンが非常に豊富で、昔から民間療法として骨折、挫傷、靱帯裂傷や損傷の回復に使われてきました。このハーブには興味をそそられますが、私にはまだ確信が持てずにいるのは、老化対策としての価値についての情報が確立していないようだからです。もし、お試しになりたければ漢方医や開業医などの指導を受けた方がよいでしょう。