ご注意
まずこれをお読みの皆様にお願いですが、現在医療機関で治療を受けられている方は、必ずかかりつけの医者に相談の上お試しください。また、自己診断は禁物です。まず医療機関の診断を受けた上でご自分の体調を正しく把握してください。
 もしもあなたが今までに大掃除の最中に盛大なくしゃみをしたことがあったならば、おそらくあなたはホコリ(ダスト)をかき回したせいにしたのではないでしょうか。でもアレルギー専門医や免疫学者はちょっと違った見方をしているようです。くしゃみの原因はダストではないことを専門家は発見したのです。くしゃみは体の生体反応で、侵入した化学物質や異物などをくしゃみで素早く体外に放出する動作だというのです。空気中に浮遊するダストやダニダスト、植物胞子などの体内に侵入したインベーダーに対して普通より敏感な人たちがいるのです。でも、この意味は敏感な人たちの身体が、空気中を浮遊するインベーダーへの反応の程度が少し極端に走るということなんですね。
●ストレス、ダストとイライラ

 アレルギーとはありふれた物質に対する異常な生体反応のことです。これはヒスタミンという生体免疫システムの過剰反応によって引き起こされ、このヒスタミンは細菌などのようなインベーダーを闘って体外へ排出する体内にある化学物質のことです。このヒスタミンが人間の身体で最も高い濃度で分布しているのは、皮膚、肺、及び胃腸管粘膜です。
 しかしアレルギー症状においては、インベーダーは、ウィルスとかバクテリアのような細菌ではないのです。それらは無害な物質:花粉、ダスト、植物胞子それからカーペットや衣服、ベッドなどに住みつくダニダストと呼ばれる無害な微小昆虫などがそれです。花粉症、この最も一般的なアレルギーは花粉によって引き起こされます。ブタクサ花粉は米国内の花粉症の75%の原因物質だと報告されています。およそ二千五百万から三千万人のアメリカ人が毎年花粉症の被害にあっています。ほかに千二百万人が花粉以外のもの(蜂刺され、食物やくすり)でのアレルギーの患者がいます。
 アレルギーへの標準的な治療には鼻づまり薬と抗ヒスタミン薬を含むのが一般的のようです。鼻づまり薬(充血緩和剤)は詰まった鼻腔を開き、乾燥状態にします。抗ヒスタミンは体内のヒスタミンの発散を押さえ込みます。シビアな場合には、専門医は「アレルギー・ショット(注射)」と一般的に呼ばれる免疫療法を処方するでしょう。この注射にはその人が敏感な物質(アレルゲン)のほんの微量が入っているのです。時間をかけてアレルゲンの量を少しずつ増やしていくことで、生体内のアレルギー症状の感度を落としていき、最後にはアレルギー反応を止めてしまうのです。
 鼻づまり薬、抗ヒスタミンやアレルギー・ショットはよく効果の出る人もいますが私はこのやり方が大好きとは言いません。このようなやり方はアレルギーの症状の治療だけで、生体内の免疫システムを混乱させる原因にもなりかねないのです。鼻づまり薬は不眠症や高血圧を誘引することがあります。抗ヒスタミンは眠気を誘います。両方とも服用しているうちに効果が低下します。さらに免疫システムを混乱させるだけでなく、ある専門家によると免疫システムを弱体化させることもあるということなのです。アレルギー・ショットは誰にでも効くと言うことでもなく、またその治療期間も数年間かかると言うことです。
アレルギーの爆発的症状

 約30年前に会った女性についてのアレルギーの治療についての思い出をお話ししましょう。彼女はとても魅力的でしかもエネルギッシュなワシントンD.C.のスミソニアン協会からきた若い女性研究員でした。12月のある日メリーランドのベルツビルにある私のオフィスに現れ、植物のポピーについて私が調査した長文のレポートを借りたいとのことでした。私たち二人はこのレポートの改訂版の出版のための共同研究について話し合い、クリスマスの後に再び仕事の分担を議論するということになりました。しかし、それきり彼女に会うことはありませんでした。後から聞いた話ですが、この女性は亡くなったそうで、それも非常に珍しいピーナッツのアレルギー反応が原因とのことでした。(平均で、毎年二人がこのアレルギーが原因でなくなっているということです)彼女はピーナッツが致命的なアレルギーであることを知っていたので、それを常に避けていたのです。でも聞いた話では、不注意にもクリスマスのクッキーを一つ食べ、そのクッキーには彼女を死に至らせるに十分な量のピーナッツパウダーを使ったものだったのでした。
 そのような致命的な生体反応は、私たちが「アレルギー」というときの意味には使いません。しばしばアレルギー反応は全くいらいらさせられます。症状はくしゃみ、かゆみ、なみだ目や蕁麻疹のようなものでしょうか。アレルギー反応は生命への脅威といえますが、反面大変すぐれた防御反応とも言えるのですが。
 アレルギー反応のような種類の医学用語にアナフィラキシー(anaphylaxis)というのがあります。もしもアレルギー反応が爆竹だったら、アナフィラキシーは1本のダイナマイトの棒といえるでしょう。だれもがアナフィラキシー・アレルギー反応が何であるかを知っているべきです、というのもこのような爆発的な生体反応を起こした人は30分以内に医学的治療を受けなければならないからです。アナフィラキシーはその人にとってきわめて強いアレルギーを持った物質を摂取すると、短時間のうちに突然に発症します。症状には呼吸困難、虚脱、ショック症状を含みます。もしこのような症状の時は救急車を呼び「アナフィラキシー(過敏症)の疑いがあります」と告げることです。
 実際、自分でひどいアレルギーを持っていたら、かかりつけの医者と相談してエピネフリンの注射器を携帯する事を考えることをお勧めします。
【訳者注:エピネフリンは平滑筋、血管、及び他の組織に対する化学的メディエーターの作用に対する拮抗薬です。】
 緊急の時の治療薬があなたの手元にあればグッドアイデアだと、きっと前記の彼女も賛成してくれるでしょう。
アレルギーのための「緑の薬局」

 あなたはもう私が「植物の信者」ということを知っているのでアレルギーも自然なやり方で考えると聞いても驚かないでしょうね。こんな中からアレルギー症状の役に立つ方法をいくつか。有効なハーブをご紹介していきましょう。
"★"の数は効果の高さの指標です。
★★ガーリック(Garlic (Allium sativumニンニク)とオニオン(onion /A. cepaタマネギ)
 大変に有効です。というのはこれらの植物に見つかったケルセチンという成分が高密度に含有するのです。これらの成分は体内の炎症を抑えるのです。もしあなたがアレルギー患者であれば、私はあなたの食事のメニューにこの食材をふんだんに取り入れることを提案します。
★★ ギンコウ(Ginkgo/Ginlko biloba イチョウ)
 この威厳のあるイチョウの樹木の葉のエキスには特にユニークな数種の物質が含まれていているのです、それは血小板活性化ファクター(PAF)という体内で生産される化学物質の活動を抑えるのです。PAFはアレルギー、ゼンソクや肺炎などを引き起こす役目の鍵になる働きをするのです。
 私自身はギンコウを使うほどのアレルギー症状はないので試していませんが、もし悪くなったらこれを使ってみるつもりです。このギンコウの一日の標準服用量は60から240ミリグラムですが、これ以上は摂らないようにしてください。一度に大量を服用すると下痢や過敏症、不眠症を引き起こすことがあります。
★★スティンギングネトル(Stinging nettle/Urtica dioica セイヨウイラクサ)
 いくつかの優秀な調査研究ではこのネトルがアレルギーの鼻の症状の治療に効果的なことがわかっています。毎年春、私の農園を訪れる人たちはネトル畑を掘り返し花粉症の対策に根っこを掘りおこして持って帰るのです。実際にネトルがアレルギー症状を軽減させるとしても別に驚くこともありませんね。数百年の間、世界中の文化圏でこのハーブが鼻腔や呼吸器系の症状に使われてきましたその範囲はセキ、鼻水、ゼンソク、百日咳や結核にいたります。
 コロンビア大学医学部とアリゾナ大学のアンドリュウ・ウェイル医学博士達は「フリーズドライ(冷凍乾燥)したネトルの葉が花粉症の諸症状をドラマチックに軽減することはそんなに驚くことではありません」と述べています。
★ カモミール(Camomile/Matricaria recutita カモマイル、カミルレ、カミツレ)
 アロマテラピスト(芳香療法家)、特にヨーロッパの専門家は、蕁麻疹やかゆみ(疥癬)などの皮膚アレルギーの治療にカモミールを使ったマッサージを強く勧めているようです。とても合理的な方法だと私は思います。ハーブはとても薬効のある成分を含み、特に抗炎症と抗アレルギー成分を含有するのです。自然食品のお店でカモミールの精油かカモミールのクリームを手に入れることができます。あなたが花粉症ならば、カモミール・オイルとかカモミールの商品を使ってみるのも一案ですがその際には注意も必要です。カモミールはブタクサの種に属するので、この植物にアレルギー反応を引き起こすことがあるかもしれません。(今までに記録されたケースは非常にまれです)あなたが初めてカモミールを使うときには、身体の反応をよく注意してください。カモミールを使って具合が良ければ、安心して使い続けてもよいでしょう。でも不愉快なかゆみなどを感じるようであれば、単に使用を中止すれば良いでしょう。
★ フィーバーヒュー(Feverfew/Tanacetum parthenium ナツシロギク)
 フィーバーヒューは当時偏頭痛の治療薬としてその有効性が証明された、よく知られたハーブです。しかし、このハーブにはアレルギーを和らげる効果もあるのです。米国内ではこのハーブエキスのカプセル入りやいくつかのタイプの商品が手に入ります。葉っぱを食べたことがありますが、あまり舌がうれしがる味ではないようです。それに、生の葉は口の中に炎症を起こすことがあります。もしアレルギー症状がつらくなってきて、ほかに薬がないときなどはこのフィーバーヒューを使うとよいでしょう。しかし妊婦さんはこのフィーバーヒューは摂らない方がよいでしょう、というのは間接的にですが流産の引き金になるおそれがあるからです。看護婦さんなど妊婦産に接する機会のある人たちも授乳の介護の際にミルクに混ざる可能性があるのでこのハーブは避けた方がよいでしょう。
 最後に、このハーブを長期間使っていると、歓迎するにしろ、しないにしろマイルドなトランキライザーか鎮静剤の効果が現れるというレポートもあるのですが、それはあなたの体質にも依るようです。
★ホースラッディッシュ(Horseradish/Amoracia rusticana ワサビダイコン)
 鼻腔をきれいにするためには生のホースラディッシュを一かじりすれば万事OKです。(またはホースラディッシュのドレッシングをスプーン一杯でも良いでしょう)もしくは、日本料理が好きだったらワサビと呼ばれるジャパニーズ・ホースラディッシュを試してください。大学の研究レポートは「一日の服用量はアレルギー症状が静まるまでの量は必要でしょう。それからあとは、ほかのアレルギー攻撃を予防するためにも毎月ティースプーン数杯程度にしておくことです。」と述べています。わたしはこのホースラディッシュをスパイスとしては楽しんでいますが、アレルギーの救済方法として使えればためらわないでしょう。ホースラディッシュはとても辛いですが、ワサビはもっと辛いので十分に注意ください。あなたが辛い食べ物が嫌いならば、違った方法を選ぶのが最良の方法です。
★ ビタミン C
 そんな昔ではない頃、レイ・ブロードハースト博士がアレルギーについて話し合うために私の事務所に立ち寄られました。ブロードハースト博士は栄養医学の専門でもある地球化学者です。そのころ彼は米国農務省にいて研究活動をしていました。アレルギーの予防と治療のため、ブロードハースト博士は一日3回、ビオフラボノイド(bioflavonoids=ビタミンP)入りのビタミンCを各1,000ミリグラム摂ることを勧めています。この方法は私も賛成したいと思います。40を越えるビタミンCの研究の中でビタミンCを常用している人々は空気感染やゼンソク発作、アレルギー症状が少ないと言う報告があります。ビタミンCは強力で、下痢以外の副作用のない自然の抗ヒスタミン剤としてよく知られています。わずかな人数ですが一日1,200ミリグラムのビタミンCを摂ると下痢症状になる人が居ます、これはごくまれなことだということですが。この療法を試してみたければ、ビタミンCの量を減らしてみて、下痢症状がどうなるかを試してください。どっちにしろ栄養補給剤だけに頼らない方がよいでしょう。安物のビタミンCの錠剤には胃腸で全く吸収されずに、トイレに流れ出てしまうものもあるのでご注意ください。
 ビタミンCの豊富な植物にはチャイニーズ・ビター・メロン(Chinese bittermelon)、ベルペッパー(bell peppers)、カイエンペッパー(cayenne pepper)、ポークウィードの新芽(pokeweedshoots)、グァバ(guava)、ウォータークレス(watercress=クレソン)などがあります。