ご注意
まずこれをお読みの皆様にお願いですが、現在医療機関で治療を受けられている方は、必ずかかりつけの医者に相談の上お試しください。また、自己診断は禁物です。まず医療機関の診断を受けた上でご自分の体調を正しく把握してください。
 ずいぶん前になりますが、今30歳代になる私の息子ジョンがじんまを患ってしまったんです。ジョンが庭で土いじりしていて、おそらく庭に植わっていた何百もの植物のなかの一つか二つにアレルギー反応がでたのでしょう。さもなければ、猫やニワトリ、山羊や馬、ウサギのような家禽にアレルギーだったのかも知れません。動物と言ってもアライグマや鹿、キツネ、マーモット、オポッサムは考慮しなくても大丈夫でしょう。じんま疹は一年ほどの間、出たり消えたりしてジョンを悩ませたでしょうか、そしてハイティーンを越えたときにはじんま疹も消えてしまい、再発することもなくなりました。結局ジョンのじんま疹の原因は分からずじまいでした。数種類のありふれたアレルギーがあったにしろ、じんま疹を引き起こす引き金になる背景の生活環境を特定することは通常大変困難なことです。じんま疹が出始めると、ジョンには抗ヒスタミン効果のあるハーブの代りに抗ヒスタミンのジフェンヒドラミンが成分の市販薬を少量与えることにしていました。今でしたらハーブ療法で治療したでしょう、でもあの当時私は完全に自然療法に切り替えていなかったのです。
じんま疹が起こるわけ
 じんま疹は皮膚表面に出来る中心が白っぽい赤いみみず腫れでカユいものです。医学的には発疹(nettle rash)などとして知られていますが、その名前は植物のセイヨウイラクサ(stinging nettle)がじんま疹の原因という事実からきているようです。
 じんま疹はヒスタミンの生体反応で、ヒスタミンは体内の主に肥満細胞として知られている特別な細胞の内部に分布している普段は隠れた物質です(いろいろな化学物質や抗原抗体相互反応により誘発されます)。ついでに言えば、植物のスティンギングネトル(セイヨウイラクサ)の表面の細かいトゲにバサッとさわってしまったときにはごく少量のヒスタミンを注射したようなものです。あなたの体の中で作られるヒスタミンは花粉症のようなタイプのアレルギーがもたらすくしゃみや涙目などの症状を引き起こす役目をします。だから体内の自然な反応を止める抗ヒスタミン剤という物質でじんま疹を含む幾種類アレルギーの症状を手当する事が出来るのです。ある種の食べ物やアスピリン、その他多くの薬剤を含めた物がじんま疹の原因になるアレルギー反応を引き起こします。
 しばしばですが、とんでもない物がじんま疹を引き起こしますが、たとえば日焼け止めクリームを使う人たちの3%がこれでじんま疹を起こします。でも、多くの場合じんま疹の原因にはミステリーなところが残るようです。
じんま疹のための「緑の薬局」

 処方薬や抗ヒスタミンの売薬は通常のじんま疹の医学的な治療法といえるでしょう。ハーブ療法にも多くの取り組み方があるのです。
"★"の数は効果の高さの指標です。
★★★ジュエルウィード(Jewelweed/Impatiens capensis ホウセンカ)
 じんま疹対策の私のお気に入りのハーブです。このハーブには魔法の働きをするローソーン(lawsone)という成分が含有するのです。私はこのローソーンの抗じんま疹効果を1995年バージニアで開かれた"山野草現地講習会"で学んだのです。現地で私の長年の友人でハーブ研究家のジム・トロイが突然にトゲのあるイラクサの葉っぱで私の両手首を激しくたたくんです。その場にはニュージャージー・ルトガー大学の薬剤学者ロバート・ローセン博士が居てビンに入ったローソーンの溶液を用意してありました。その溶剤を右手首にこすりつけるとたちまちの内に痛みが除去されたのです。残った左手に出来たじんま疹はかゆさがとれません。この経験は私にジュエルウィードなどどんな植物でもローソーンという成分が含有しており、じんま疹の治療に少なからず価値がある事を確信させたものでした。事実、その野草講習会の現場で幾人かの参加者がジュエルウィードの葉をつぶして、同様にトゲのあるイラクサでの実験をしてみて大変良い結果を体験していました。
 更に良い物がでてくるまでは、イラクサの様な植物によるじんま疹にはジュエルウィードで対処することは心から支持し、同様の原因で生じたじんま疹にはこの方法をお勧めしたいと思います。この治療方法をお試しになりたいときは生のジュエルウィード(ホウセンカ)の入手が必要ですが、ご存じのようにこれは世界中どこにでもあるありふれた植物です。ジュエルウィードかどうか区別の付かないときは、植物の詳しい人かハーバリスト、園芸関係者などによくお聞きになってください。
★★★スティンギング・ネトル(Stinging nettle/Urtica dioica セイヨウイラクサ)
 さきほどの例にも挙げたこの植物は、葉に触れたりするとこの植物のヒスタミン成分が皮膚に吸収されてアレルギー反応を起こして皮膚がみみず腫れになるとお話ししました。
 アリゾナ大学で教鞭を執っているハーブ研究者のアンドリュウ・ウェイル博士はこのネトルの葉のエキスを冷凍乾燥(フリーズドライ)したものがじんま疹やアレルギーの治療に有効であると発表しています。この論は不合理のように聞こえるかもしれませんが、どうもこの植物を口から摂取したときには身体に問題を起こすに十分なヒスタミンの量はないらしく、それよりもじんま疹を癒す成分のほうが多く含まれているようなのです。
 スティンギング・ネトルはカプセルになったものが健康食品店で売られています。ウェイル博士は必要に応じて2から4時間ごとに1,2カプセルを飲むように語っています。私はそんな脅迫的にスティンギング・ネトルを強制する立場からずっとさがって、皆さんにはこの植物をお茶にして飲んだり緑葉を料理に使う事で利用することをお勧めしておきましょう。ただ、緑葉を収穫するときには手袋を着用する必要がありますが、このトゲは調理後には無くなって、緑葉はとてもデリシャスに食べられます。このスティンギング・ネトルは全国至る所に自生している雑草で、生ハーブを収穫するにも苦労はしないはずです。
 ごく最近の研究ではこの植物の根が葉よりも有用であるような論文もでてきました。根の成分のカプセルはまだ商品化されてはいないようですが、もしも生ハーブが入手できれば根の部分を陰干しして乾燥させ、乾燥した根をみじんに刻んで作ったお茶を飲んでみてはいかがでしょうか。
★ ★天然の抗ヒスタミン
 医者にだって知らないことがたくさんあるのです、たとえば多くの植物には抗ヒスタミン成分が含まれているんです。私の資料にはこの手のハーブが満載です。たとえばカモミール、ワイルド・オレガノには少なくとも7種類の抗ヒスタミンの化学物質が含有し、ルー(ヘンルーダ)には6種類です。5種類となるとバジル、エキナケア、フェンネル、イチジク、イチョウ、グレープフルーツ、パッションフラワー(チャボトケイソウ)、タラゴン(エストラゴン)、紅茶(茶)、タイム、ヤーローなど。
 あるハーブ専門家はカモミールはヒスタミンのアレルギー反応を引き起こすことがあると注意しているようです。確かに大変敏感な人たちがいることも確かですが、ここではハーブに含まれる抗ヒスタミン成分として、アピゲニン、イソラムネチン、ケンフェロール、ルテオリン、ケルセチン、ルチンとアンベリフェロンがあります。これらの成分がうまく混合されているのでハーブを使う価値のある理由なのです。もしも効果がないか、じんま疹が更に悪くなるようだったら、単に使用を中止すれば良いだけです。
 非常に多種類ある抗ヒスタミン成分を利用するには、我がコンピューターが教えるところによると数種類の抗ヒスタミンのハーブを組み合わせたお茶を飲む事を勧めています、たとえばバジル、カモミール、フェンネル、オレガノ、タラゴンと紅茶(緑茶を含む)などがあります。そのほかに、同様に数種の混合ハーブで作ったお茶をカップ数杯お風呂に入れて入浴するか、清潔な布をお茶に浸して軽く絞った後患部に当てる方法もお勧めできます。もちろん飲み物として飲むことも効果的です、というのは抗ヒスタミン成分は外用として使うのと同様に身体の中からも良く効果を得られるからです。もしもこのお茶があなたの助けになれば、敬虔な気持ちで利用しましょう。でも仮に効果がなければ無理に続けずに使用を中止してください。
 先に挙げたハーブはすべて一般的にごく安全なハーブと見なされています。
★★パースリー(Parsley/Petroselinum crispum パセリ)
 ある科学者の研究で、パースリーがヒスタミンの分泌を抑制する働きがあることを突き止めたと言うことがです。
 もしもあなたがじんま疹の患者ならば、適量のパースリーをジュースにして別に作った野菜ジュース(ニンジンやトマトなどお好みの野菜を使ってください。)に加えて一緒に飲むことを試してみてください。
★アマランサス(Amaranth/Amaranthus、多種ありハゲイトウ)
 世界中を広く旅している人類学者ジョン・ハイネルマン博士の上梓した食べ物とハーブによる治療法を載せた「フルーツ・野菜・ハーブ百科」によると、アマランサスの種子で作ったお茶はじんま疹や湿疹、乾癬(かんせん)の良い洗浄液になるとあります。このお茶を作るには、わかしたお湯3カップにアマランサスの種子茶さじ2杯を加え20分ほど浸しておきます。もしも私が自身のじんま疹で、治療にするのでしたらこれに少しジュエルウィードを加えるつもりです。
★ジンジャー(Ginger/Zingiber officinale ショウガ)
 カナダ人のハーブ専門家協会の会長で「現代ハーブ学」の著者でもあるハーブ専門家テリー・ウィラード氏の勧める方法は、食べ物からくるアレルギーの結果として出来たじんま疹には約4リットルの水を鍋で煮立たせ、その中に230グラムのジンジャーを入れて5分間トロトロと煮出し、その液をお風呂に加えるというもの。しばらくそのお風呂に浸った後、肌をカモマイルのお茶を浸ませたスポンジで拭うとのこと(1カップの沸かした湯にティースプーン1杯)「この方法はどんなときでも良く効きますよ」と氏は言っています。
★エッセンシャルオイル
 芳香療法師(アロマテラピスト)は、じんま疹の治療にはカモマイルの精油を使うことを勧めていて、私もこの方法は賛成です:じんま疹の患部に1,2滴直接垂らして良くマッサージして擦り込みます。
 エッセンスオイルについて言えば、キャラウェイ(ヒメウイキョウ)、クローブ(チョウジ)とレモンバーム(メリッサという名でも知られる)などはすべて抗ヒスタミンハーブといえます。
 上記のオイルの幾種類かを植物性オイル2オンス(1オンス=約30グラム)に数滴ずつ垂らして使うと、つらいかゆみを楽にする効果がある軟膏の様な結果を得られます。
 エッセンスオイルは口から摂取しないことを忘れないようにしてください、どんな少量でも有毒物質として働く可能性があるからです。
★その他のハーブ
 ハーブ療法家の中で、精神的な不安やストレスから来るじんま疹の改善にバレリアン(セイヨウカノコソウ)のハーブ茶を飲むことを勧める人もいるようですが、バレリアンは良質の自然の鎮静剤として知られています。
 ほかにお勧めできるハーブとしてアロエジェルはじんま疹の腫れを鎮めます。
 激しくかゆみの伴うじんま疹には、温水風呂に手のひら数杯のオートミール(オート麦)を入れる方法をお試しください。驚くほど良く効きますよ。
 コーンミントかペパーミントをお茶か洗浄液として使ってもじんま疹の治療に役立ちます。ミントの中の成分の一つのメントールはかゆみよけの効果を示します。