ご注意
まずこれをお読みの皆様にお願いですが、現在医療機関で治療を受けられている方は、必ずかかりつけの医者に相談の上お試しください。また、自己診断は禁物です。まず医療機関の診断を受けた上でご自分の体調を正しく把握してください。
 かつて妻が、めまい(眩暈/げんうん)で困ったとき、医者にかかったことがありました。彼女が帰りに持って返ってきたのは、1箱18ドルするチバガイギー社製のトランスダーム・スコプというスコポラミン成分の経皮ふ吸収性製剤(皮ふに貼って有効成分を吸収させるタイプの薬)でした。その当時は、スコポラミンはめまいや乗り物酔いに効くと言われたこの手の症状の標準的な治療薬でした。
 じつは愛妻ペギーはスコポラミン成分が前庭に植えてある植物を利用すれば安価に手にはいることを良く知っていたのですが。私の庭のジムソンウィード(ソーンアップル/シロバナヨウシュチョウセンアサガオ)や近縁種のダチュラにはスコポラミンを含有しますが、たぶん薬としては、使いません。私個人としては、このスコポラミンは自然のものでもお勧めはしたくありません。薬として有効性はあるのですが、副作用が強く、かすみ目、皮膚と粘膜の乾燥、幻覚や錯乱、動悸を誘発する事があるのです。
 めまいや船酔いや乗り物酔い、つわりへの対策に私はジンジャー(ショウガ)が良いと思います。
 言葉の意味として"めまい"にもdizziness(めまい)とvertigo(目が回るときの空間識失調)があり、医療技術的には区別していますが、一般には混同されているようです。Dizzinessのほうのめまいは単に不安定感、ふらふら感というような意味でしょうか。反面Vertigoの方のめまいは悪性のようです。周りの世界がぐるぐる回っているような感じや、あなたがぐるぐる回っているような平衡、歩行、環境中での身体保持などの困難を感じます。こんな感覚が続くときには脳内の前庭機能を精密検査すべきです。
めまいのための「緑の薬局」

 もしあなたが慢性的にめまいを感じていれば、内科医の診断を受けるべきです。長期のまた周期的なめまいは、時として耳の障害(感染症)や心臓の不整脈、高血圧もしくは重大な問題を抱えているときがあるからです。時折起こるめまいには数種のハーブを試してみても良いでしょう。
"★"の数は効果の高さの指標です。
★★★ ジンジャー(Ginger/Zingiber officinale ショウガ)
 中国人の船乗りは数千年前から船酔い予防にショウガの根を噛んでいました、その治療法はアジアからインドへ伝わり、中近東からヨーロッパへと広まっていきました。現代科学はこの様な古代の治療法の有効性を証明してきました。80名の米国海軍士官候補生による研究例として、出航直前に粉末のジンジャーを1グラム(ティースプーン半分)を飲ませたところ、めまいを含めた船酔いを起こした生徒を今までよりも38%減らし、頻発嘔吐患者を72%減らしたという結果があります。初期の研究でも健康な18人の臨床試験でも、めまいや乗り物酔いにジンジャー1グラムの服用で通常使われる医薬品よりも症状をやわらげました。「車酔いを防ぐには出発前30分にジンジャーの粉末2カプセルを飲み、症状がでたら更に2カプセル飲んで、毎4時間ごとに服用すると良いでしょう」とヴァロ・タイラー博士(インディアナ州ウエストラファイエットのパルド大学[自然素材の薬学]学部長兼名誉教授が提唱しています。
 ジンジャー・カプセルは健康食品店または補助栄養食品店などで入手可能です。生のジンジャーティーやスライスした砂糖漬けジンジャーなども良いですね。
ジンジャーの薬効には更なる検証が必要か?
 私はめまい、船酔いや胃腸がつらいときにはジンジャーが良いと信じているものの一人です。数百年の経験を持つ民間療法やいくつかの優れた研究がこれを支持しています。しかし、全ての研究が好意的な結果とは言えないようです。製薬工業界がスポンサーになっていると思われるある研究では、ジンジャーはこの症状には効果が無く、抗めまい治療薬にはスコポラミンが有効であると結論づけているようです。
 個人的にはたった一つの研究の結果では支持しませんが、公平な立場でそれぞれを比較した相対的な研究結果ならば良いと思っています。米国政府がスポンサーになっている研究のように新薬(合成医薬品でも天然成分品でも)の薬効試験ではプラセボ(偽薬)法だけでなく、他の薬剤との薬効の比較試験を行わない限り、最良の医薬品として決められないのです。
★★ ギンコー(Ginkgo /Ginkgo biloba イチョウ)
 イチョウのエキスはめまいやあまたの症状に効くものとしてヨーロッパでは広く認められています。フランスでの研究の一つに、慢性的なめまいの患者70人のうち47%の人がこのイチョウを摂取している間、症状の改善が見られたということです。
 一日約60から240ミリグラムの摂取が目安、それより多くても少なくてもダメです。とくに大量のイチョウエキスの摂取は下痢、過敏症、不眠症などを引き起こします。
★ セロリー(Celery/Apium graveolens オランダミツバ)
 セロリの種子は中国の伝統的漢方薬としてめまいなどの治療に長年の歴史があります。
★ パンプキン(Pumpkin/Cucurbita pepoカボチャ)
 私の敬愛するハーバリストの言うにはカボチャのタネがめまいに効くとのこと。
 もし私がこの治療法を自分で使うとしたら、自家製のカボチャのタネを練り込んだバターを使わない手はないですね。
★ ハーブを調合したお茶
 私がこのお茶のレシピーの作成責任者ですが、整腸作用のある幾種かの芳香ハーブの中からいくつか使って抗眩暈効果のあるお茶をつくるとこうなってしまいます。
 ジンジャーをティースプーン4杯にカボチャのタネ、セロリの種子の砕いたものとカモマイルの花、フェンネル、オレンジの皮(ワックスしていないもの)、ペパーミントとスペアミントを加えて約15分間浸出する。いかにも効きそうですね。