ご注意
まずこれをお読みの皆様にお願いですが、現在医療機関で治療を受けられている方は、必ずかかりつけの医者に相談の上お試しください。また、自己診断は禁物です。まず医療機関の診断を受けた上でご自分の体調を正しく把握してください。
 しばらく前のことですが、私の姪が電話で「何かつわりに効くものを教えてくれない?」と質問してきました。その姪は妊娠してひどいつわりで苦しんでいるようです。私が直面する問題がこれでした:私はただの植物学者であって医学者ではないのです。私、間違ってますかね。それこそ私のアドバイスを試した姪や彼女の赤ちゃんを少しでも危険な目に遭わせるかもしれないなど思いたくないじゃないですか。
 かつて私の娘に「つわりの時はジンジャーを試すといいよ」と言ったことがあるので、かわいい姪に言えるアドバイスは過去に実績のある同じアドバイスだったのです。その時のたった一つのためらいは、ある薬理学者が言った「ジンジャーは流産を誘起するかもしれない」ということでした。でも、カップ1,2杯のジンジャー・ティーでそんな事故を想像したくありませんから私の娘に与えたたった一つの注意「とにかく少しずつ、ゆっくり飲みなさい」とおなじことを姪にも厳命したのでした。その後、姪の電話ではジンジャーが良く効いたらしく、目立った副作用も無かったそうです。薬理学者の忠告に価値があるように、更に証拠が集まるまでジンジャーの忠告を続けるつもりでいます。
 一方、より安全で有効なつわりに効く"何か"はまだ見使っていません。姪と電話したすぐ後に、薬理学者が発表した「流産についての懸念」を説明する研究を聞く機会がありました。つわりに伴うむかつきをコントロールするにはジンジャーを1グラム以下摂取すれば良く、月経を(恐らく中絶も)引き起こしたりする目的でこのハーブを使うには20から28グラムを摂る必要があると中国人研究者は言っていました。ざっと見積もって、カップ一杯の濃いジンジャー・ティーには250ミリグラムのハーブ成分が含有している計算になり、これは流産を引き起こす量の80分の1の量になります。強烈にスパイスを使った中国料理一皿にはおおむね500ミリグラム(流産する量の40分の1)、また240mlほどのジンジャーエールには約1000ミリグラム(流産を誘起する量の20分の1)のジンジャーの量になります。
 普通つわりとは吐き気、めまいや気分の悪い感覚などが、妊娠した女性が朝起きた時や人によっては一日中経験する症状のことです。妊娠した女性のおよそ50%ほどが妊娠3ヶ月ほどでつわりを感じると言われています。ただし、中にはもっと長い間症状が続く女性もいるようです。
 科学者達はなぜつわりが引き起こされるのかよくわからないようです。
 幾つかの民族的な方法の中で、自然な方法として母胎から毒素を除去するべきだと言われています。それについてはよくわかりませんが、いま言えることはつわりの為に強い薬などは私の娘や他の女性にも決してお勧めしないと言うことです。だから、もしもあなたが妊娠したならば、担当医とよく話し合ってつわりの為の薬を処方する前に、代替治療として穏やかな効き目のハーブについての可能性を考えて見るようにしてください。
つわりのための「緑の薬局」

 もしもあなたが私と同じように最良の薬は食べ物にあると信じている方ならば、食事は大変に役に立つことです。多くの妊婦さんが実践して効果があったと報告された方法に、朝一番に起きたときにすぐクラッカーやドライトーストを少量たべることと、一日何回でもこまめに食事をとり、空腹を感じないようにすることがありました。加えて、ここにお役に立てるハーブをご紹介します。
"★"の数は効果の高さの指標です。
★★★ ジンジャー(Ginger/Zingiber officinale ショウガ)
 かつて私が新聞で公表した「薬としての食べ物」のなかでつわりに効果のあるものはジンジャーしかありませんでした。多くの女性から本当に役に立ったと知らせて頂いてから私はジンジャーを本気で信じるようになったくらいです。
 現代医学の研究論文にはつわりに対してジンジャーの効果を現したものは見あたりませんが、吐き気の状態に大変よく似た乗り物酔いの症状に対してのハーブ的治療の研究書は結構あるんです。その中の優れた研究に、ジンジャーの効果は乗り物酔いによる吐き気、むかつきの治療に使われる普通の処方薬の抗ヒスタミン剤のジメンヒドリナート(商品名:ドラマミン)よりも遙かに良く効くと示しています。その他の研究でも、ジンジャーはめまい症状を軽減するとあります。
 この章にはつわりの救済に幾つか方法を並べていますが、私の意見ではジンジャーがやっぱりナンバーワンだと思っています。一日ジンジャー・ティーを2カップを限度に飲むことをお勧めします。
★★ペパーミント(Peppermint/Mentha piperita ハッカ、各種ハッカ)
 ペパーミントにはそれ自身にハッカ効果やクール効果、胃腸の鎮静効果など医薬的な価値を持っています。
 選択主義の19世紀の医者は、その当時配合されたハーブが医薬品の主流をしめていました、その中でつわりにはメントールの蒸気が良いとされていました。古代ローマ人は大食した後にはミントの小枝を噛み胃腸を鎮静していたので食後のミントと言われていたのです(名前にもかかわらず本当のペパーミントではなかったのです)。
 ペパーミントには胃のつらさを和らげる成分を含有していますが、私のデータベースに依るとよりメントールを豊富に含有するものは他にあるのです。コーンミント(Cornmint)がメントールが最高に含有、続いてマウンテンミント(妊娠中は使わないこと)、ウォータミント、それからバージニア・マウンテンミントとなります。
 濃いペパーミント茶を大量に飲んではいけません、流産の引き金になることがありあります。私の姪もペパーミントを欲しがりましたが、私の忠告に従って一度にカップ1,2杯以上は飲まないようにしました。
★ ブラック・ホアハウンド(Black horehound/Ballota nigra )
 このハーブは乗り物酔いの吐き気、むかつきの治療に大変良い評判を持っています。もちろん妊娠や神経性の吐き気の治療にも有効だと信じています。
 単独でもいいですが、いろいろ組み合わせて使ってください:たとえば、ブラック・ホアハウンド1に対してカモマイル2、メドウスイート(セイヨウナツユキソウ)2を混ぜてください。
 メドウスイートにはアスピリンに似た成分が含有しているので、もしあなたがアスピリンがだめならば替わりにジンジャーか柑橘系の表皮をどちらかでも両方でも使うと良いでしょう。一日カップ1,2杯程度を試してください。
★ キャベツ(Cabbage/Brassica oleracea)
 生でも調理したキャベツ、キャベツのジュースかまたはザウアークラウト(塩漬けにして発酵させた酸味のあるキャベツ料理)は昔から胃腸障害の回復に役立ちます。特にザウアークラウトのジュースは、つわりの原因になる胃腸の過活発化を和らげると報告されています。
★ ピーチ(Peach/Prunus persica モモ)
 中国ではモモの木の葉を、ヨーロッパでは樹皮をお茶にしてつわりの時に飲みます。葉にはベンズアルデヒドという物質を含みつわり症状に際だった効果があるそうです。
 もしも樹皮を使うときはティースプーン1杯以上は使わないでください。
★ ラズベリー(Raspberry/ Rubus idaeus キイチゴ、エゾイチゴ)
 ラズベリーの葉から作られたお茶は、つわりに伴うむかつき止めに広く活用されています。この応用方法はまだ充分に研究されているわけではありません。それでも、この民間伝承には大きな価値があると思っていいし、このお茶には生理障害からつわりや陣痛と言った女性特有の症状の治療には根強い人気があるのです。
 ラズベリーの葉には子宮の平滑筋をリラックスさせる成分が含有し、お湯に抽出されやすい成分なのです。一日カップ3杯まで飲むと良いでしょう。また、ジンジャー、ミントとレモン少々を加えるととても美味しい「ムカムカ撃退茶」になりますよ。
★ 柑橘系果実
 グレープフルーツ少々とオレンジかミカンを加えた飲料はつわりを軽減する助けになるとの研究結果があります。
★ ジュース
 ジューサーを持っている方はジンジャー、キーウィ、ミントとパイナップルまたはリンゴ、人参とジンジャー、他にリンゴ、フェンネル、ジンジャーとペパーミントかスペアミントの組み合わせのミックスジュールを考慮してみるとよいでしょう。これらのハーブの持つ化学成分はつわりの心配のない生活にとても役立つことを私に感じさせるのです。
 朝食に美味しいジュースを取り入れることは、より健康でいろいろの身体の問題を払拭出来るよりよい方法ではないでしょうか。