ご注意
まずこれをお読みの皆様にお願いですが、現在医療機関で治療を受けられている方は、必ずかかりつけの医者に相談の上お試しください。また、自己診断は禁物です。まず医療機関の診断を受けた上でご自分の体調を正しく把握してください。
 1990年代の初頭、マスコミたちがそろって同じ記事を発表したことがありそれは「男性精子数が、1930年代に比べ、顕著(約40%)に低下している」という内容でした。
 新聞に見られた見出しは刺激的に:
  「沈黙の春から不妊の春へ・・」:ビジネスウィーク(訳者注:レイチェル・カーソン氏の著書をもじって)
  「精子に何があったの?」:タイム
  「運動能力の低下!:あなたの男性能力はおじいさんの頃の半分しかない」:エスカイア
 こんな不安な記事が載った後、幾つかの研究結果によると「心配はない、普通の射精で一億個の精子を含み、これは60年前と同じである。」と言うことでした。この研究は報告された6千万個の精子数と言う相当な衰えを示す結果へは不利に働くはずでした。
精子を探して・・・

 また精子数減少の研究の他の反応としては、ある研究者たちは何が減少の原因になるかを突き止めようとし始めたのです。幾つかの証拠が示すものは、殺虫剤やその他の汚染物質がエストロゲンのような働きをすることがわかったのです、この意味は化学物質があたかも女性ホルモンのような生理的なまねをすると言うことです。男性という種が長期間十分な量のエストロゲン様の化学物質に曝されていると、精子数の減少を含むメス化現象が起こると言うことなのです。
 ここで実際にメス化現象の証拠として起こったことをお話ししましょう。フロリダにあるオポカ湖でのこと、1988年に相当量のエストロゲン様の害虫駆除剤の流入がありました。続いてその湖に生息する雄のワニのペニスの短小化が始まり生殖能力が低下し始め、体内のホルモンレベルもメスに近くなったのです。米国北西部を流れるコロンビア川の下流では、そこに住む子供の雄カワウソの睾丸が正常な重さの1/7しかないものが現れ始めたのです。両方の例ともエストロゲン様の化学物質に曝された証拠があるのです。
 フロリダ・ピューマは長期間に亘ってエストロゲン様の殺虫剤DDTに曝されてきて、その原因は彼らが殺虫剤に汚染された動物をえさにしてきたからなのです。ピューマの脂肪にはDDTの分解物質のDDEが高レベルで含有しています。ピューマたちの異常精子の数は病的に高く、しかも精子数も少なく、停留睾丸や甲状腺機能障害に罹っているのです。
 すべてのエストロゲン様物質の使用の抑制を叫ぶ自然科学者の数は増え続けています。私たちは彼らの言うことを良く聞くべきだと思います。しかし意見の違う人たちもいるのでは?化学工業界と言うところでしょうか。このことは驚くには当たらないでしょう。この精子数の低下が現実かどうか、もしそうならば人類が繁殖し続ける為に何をすべきかをよく理解しておく必要があると思います。
 不妊症は一般的には妊娠への試みを6ヶ月から一年続けても懐妊できない状態と定義づけられています。米国ではカップルの20%ほどが妊娠障害を持つと見られています。精子数が低下しつつあることも原因の一部ですが、母親になろうとする年齢の高齢化も大きな要因であると考えられます。
 不妊症の治療はここ数十年の間に大変大きな医療産業へと発達しており、婦人科医は排卵誘発剤などの処方薬から試験管ベビー(体外受精)のアレンジと何でもこなしているのです。これらのコストはよく知られる一般的な処置方法で個別におよそ1万ドル(百数十万円)もかかるのです。
 妊娠障害を持つ女性の側へは、早くに子供を持った経験女性によるアドバイスも有効ですが、同時に男性側の精子数の増加への方策も幾つか試してみるべきだと思います。次の章では、主として男性の側に役立つ代替治療を主として述べたいと思います。
不妊症のための「緑の薬局」

 不妊症はとても心痛なもので、そのために高度な医療技術を頼ることも必要になるでしょう。しかし、ハイテク医療での解決を試す前に、ドクターと共に妊娠のチャンスを増やすことが出来る可能性を持つ、あなた達の生活習慣の内容を徹底的に調査して、改善されてはいかがでしょうか。そしてあなたがそうしている間に幾つか代替療法を考えてみましょう。
"★"の数は効果の高さの指標です。
★★ カリフラワー(Brassica oleracea 野生キャベツ)とビタミンB6を含む食べ物
 微量栄養素サプリメントを提唱する人たちは、不妊症にはビタミンB6を勧めるようです。この栄養素の最高の供給源としては多い順からカリフラワー、ウォータークレス、スピナック、ガーデンクレス、バナナ、オクラ、オニオン、ブロッコリ、カボチャ、ケール、コールラビ、メキャベツ、エンドウとラディッシュとなります。
★★ ジンジャー( Zingiber officinale ショウガ)
 サウジアラビアでの動物生理学の報告によると、ジンジャーにはかなり顕著に精子数と運動性が向上することがわかっているのです。私としてはたった1種の動物の研究結果を人間に当てはめることは躊躇してしまいますが、ジンジャーならば安全で味もなかなかのもの、私が精子数の減少などのトラブルで困ったらジンジャー茶やジンジャー・エール、ジンジャーブレッドや野菜サラダにこのスパイシーなハーブを使うことには躊躇しないですね。
★★ ジンセング(Ginseng/Panax ginseng ヤクヨウニンジン)
 カリフォルニアのハーバリスト、キャシー・ケビールはその著書「図解ハーブ百科健康と癒しのハーブ」で、二人の不妊男性の話が載っており、一方の男はジンセング、他方ではシサンドラとソーパルメロットを摂った結果肉体的なスタミナが増強されたそうです。しばらくの後、両方の妻とも妊娠したと言うことです。
 私はこの逸話には賛成しませんが、ジンセングはアジアでは何世紀もの間、男性の性的能力と長寿を保つ強壮剤として崇められてきました。ジンセングが動物の性的能力を刺激する研究も2,3ありますが、もちろんこのことも少しは参考に出来るかもしれませんね。
★★ グァバ(Guava/Psidium バンジロウ)
 精子の奇形が原因による男性の避妊の治療としてビタミンCのサプリメントが受精力の増強剤と同様に効果があると言われています。これはUCLAの精神医学のメルビン・ワーバック臨床助教授の著書「栄養素が病気に与える影響」の中で、一日1000ミリグラム摂取すること、と述べられています。(通常ビタミンCの摂取量はたった60ミリグラムですが、この量の摂取は安全だと考えられています。)
 グァバの他にビタミンCの良い供給源はビターメロン、ローズヒップ、ベルペパー、レッドペパーやウォータークレスなどがあります。
★★ ジュート(Jute/Corchorus olitorius ツナソ、モロヘイヤ)その他葉酸を含むハーブ
 数年間、自然療法家は葉酸やビタミンBを不妊症の女性に勧めているようです。また、アトランタにある「疾病予防センター」は先天性奇形児の予防のために葉酸を含有する食べ物を妊婦さんに多く摂取するように強く勧めているとのこと。
 多数の人が葉酸のサプリメントを利用するようですが、私は基本的に可能な限り食べ物から栄養素を摂るように勧めているのです。葉酸をたっぷり含むたくさんの食べ物が入手できるし、自然な形の栄養素で体内に取り込めるからです。
 私が研究した信頼できるデータベースによると、ものすごい量の葉酸を含む食べ物は食用ジュートで、乾燥状態で32PPMも含有量があるのです。これに続いてホウレンソウ、エンダイブ(キクヂシャ)、アスパラガス、パパイヤ、オクラ、ヒユ、キャベツとなります。それらの植物は亜鉛も豊富に含みこの栄養素は男性の生殖能力の活性化に重要で、上記の野菜を利用することは旦那様にも有効だと言うことですね。
★★ スピナッシュ(Spinach/Spinacia oleracea ホウレンソウ)他に亜鉛を多く含むハーブ
 幾つかの研究では亜鉛の欠乏は男性の不妊と精子の貧弱化に密接に関連のあることを示しています。
 亜鉛の豊富な供給源にはスピナッシュ、パパイヤ、コラード(ケールの一種)、芽キャベツ、キュウリ、サヤインゲン、キクヂシャ、ササゲ、プルーン、アスパラガスが挙げられます。これらの野菜をまぜこぜにして大鍋でとろとろと煮込むと、とても健康的なスープの出来上がりです。
★★ サンフラワー(Sunflower/Helianthus annuus ヒマワリ)アルギニンを多く含むハーブ
 自然療法医はしばしば男性の精子数低下の対策にアミノ酸アルギニンを含むサプリメントを勧めるようです。一日アルギニンを4グラム摂取する必要があると言っています。その量はひまわりの種に換算すると約55グラムほどになります。ヒマワリの種は私のデータベースによると、乾燥ハーブの状態で8.2%と、最も含有量の高いものです。
 この活力のある栄養素を豊富に含むハーブとしては、イナゴマメ、バタグルミ、白ルピナス、ピーナッツ、セサミ種子、大豆、クレソン、コロハ、マスタード、アーモンド、ハッショウマメ、ブラジルナッツ、エゾネギ、ソラマメとヒラマメが挙げられるでしょう。
★ アシュワガンダ(Ashwaganda/Withania somnifera セキトメホオズキ)
 アーユルベーダの内科医はこのハーブは中国のチョウセンニンジンに通じるものがあり、男性の性的衝動や特に勃起不全などの性機能などに効果がある強壮剤と考えているようです。
★ ボトルガード(Bottle gourd/Lagenaria siceraria ヒョウタン)他にコリンを含むハーブ
 動物実験であり、たった一つの研究の結果だけなので私は大いに疑問を感じます。でも、ほ乳類の生殖システムはほぼ近似するものなので、多少余分のコリンを摂取しても人間にとって毒にはならないでしょう。
 私のデータベースでは、ウリ科のボトルガードの果実の乾燥状態でのコリンの1.6%の含有率は最も高いものです。その他のコリンの良い供給源としてはフェヌグリーク(コロハ)の葉やナズナが挙げられます。続いてコリンの含有はそれほどではないけれど、お知らせする価値は十分にあるものです:ジンセング、ホアハウンド(ニガハッカ)、ササゲ、イギリスエンドウ、リョクトウ(緑豆)、ヘチマ、レンズマメ、中国アンゼリカなどです。
★ オート(Oat/Avena sativa オートムギ、エンバク)
 オートは馬を元気にするので、長い間男性の精力アップになると考えられて来ました。幾人かのハーバリストは、オートは男性の繁殖力を増強に役立つと言っているようです。
 オートはオートミールで安価に摂ることが出来ますが、普通の健康食品店でオーツエキスとして高価ですが利用できます。
★ ラズベリー(Raspberry/Rubus idaeus ヨーロッパキイチゴ、エゾイチゴ)
 ラズベリーの葉茶は、妊婦の子宮の緊張を緩やかにするのでよく勧められています。ペットのブリーダーたちは繁殖力を増すためにメスにラズベリーの葉を餌に加えて与えているのです。前述のケービル氏は男性側の不妊症にこのラズベリーの葉茶を勧めています。このお茶は殆ど無害で、そのテーストはとても美味しいものです。