ご注意
まずこれをお読みの皆様にお願いですが、現在医療機関で治療を受けられている方は、必ずかかりつけの医者に相談の上お試しください。また、自己診断は禁物です。まず医療機関の診断を受けた上でご自分の体調を正しく把握してください。
 あなたが多分知っている骨粗鬆症がミネラル成分カルシウムの損耗とそれに伴う骨の弱化によって起こる病気だとは思っていませんか。それは加齢に伴う一般的な状態の一つで、男性よりも圧倒的に女性の方が影響を受けているようです。65歳以上の女性の25%の方が骨粗鬆症の兆候が見られる反面それよりだいぶ年輩の男性でも10%以下の方しか症状が見られません。ほっそりした小柄な女性はそのリスクがもっとも大きいようです。(訳者注:アメリカ人女性に比べたら、日本人女性はだいたい当てはまってしまいますね)私の妻のペギーは今65歳で昔はやせていましたが、先日の診断で骨粗鬆症といわれてしまいました。
 骨粗鬆症はかなり多様な症状を引き起こします:腰の痛み、身長の縮み(10センチに及ぶこともある)、前屈みの姿勢(俗に"未亡人のこぶ")、とりわけ骨盤にまつわる骨折のリスクが増えます。現在、骨粗鬆症にかかるコストは米国内で毎年約60億ドルといわれています。ごく最近まで米食品医薬品局(FDA)やほとんどの内科医達は私たちにカルシウムを含む栄養剤などは時間と金の浪費であると言っていました。遅まきながら今、あの人達は「どうもカルシウムが十分ではないようですね」と言い始めています。
 1995年米国立衛生研究所(NIH)が勧めるカルシウム最適摂取量はアメリカ人特に女性では1日に1,000から1,500ミリグラムを摂取するべきだと表明しています。残念ながら、ほとんどの人の摂取量がそれよりずっと少ないし、相当の人たちが必要量の半分にも満たないのです。
食事で摂る栄養素は偏らないこと
 皮肉にも、数年前まで「栄養剤より自然の食物」といっていた医者やNIHの事務官達が今、そんなことなど忘れたかのようにカルシウムの補給には「自然の食物より栄養剤で」などと言っているのです。以前には十分にカルシウムを食物から摂るには低脂肪の乳製品、ブロッコリー、豆腐、ケール、豆科の野菜、魚の缶詰、ナッツや種子などが最適と言っていたのです。でも、あの人たちは言いにくそうにですが、ほとんどのアメリカ人にとって十分なカルシウムを摂るには食べ物からではほとんど不可能か、実行不可能だということを暗に報告しているのです。その報告書ではたくさんのページを割いて食事の間にカルシウムの栄養剤を摂り、鉄分の体内吸収をじゃましないようにすることなどを忠告しています。
(訳者注:カルシウムを摂るときには同時に適度なマグネシウムを摂取する事が必要で、また栄養補給剤でカルシウムを摂りすぎると鉄分の吸収が抑えられ、女性は貧血のリスクが増す事が言われています。)
私としてはカルシウムの栄養剤に反対はしませんが、私の信念としてはカルシウムは可能な限り食べ物から摂ることが一番だと思っています。ただ、カルシウムを摂ればすべてOKということではなく、あなたの骨のためにはカルシウム以上に骨の強度を高めるミネラルが必要なのです。実際に骨を強化するためにカルシウムとともに是非必要なものとして(まだ少数の専門家だけの間の話題なのですが)いくつかのほかの栄養素も併せて摂ってほしいのです。リンは特に重要ですが、ほかにマグネシウムやボロン、亜鉛、ビタミンDとAも同様に重要な栄養素です。現在ではこの全部が補助栄養剤から摂取することが可能ですが、私はどちらかというと「自然流」にすべての栄養素がパックされている自然の食べ物から取り入れたいと考えています。
 骨粗鬆症に関するニュースとしては、ほとんど知られていませんが、高プロテイン(タンパク質)食品は骨の組織からカルシウムを溶出させます。私が信頼する栄養学の専門家が指摘していますが、骨粗鬆症のリスクの高い人たちはプロテイン(タンパク質)の摂取量を制限した方がよいとのこと、体重1キログラム当たり1グラム以内に抑える、つまり体重55キログラムの女性は55グラムのプロテイン量までにすること、平均的なアメリカ人女性だったら1日当たりの摂取プロテイン量を約60から90グラム(鳥の胸肉一羽分)と言うところです。ほとんどの米国人はこの制限量以上のプロテインを摂っているので、たとえミネラルをたっぷり摂っているとしてもカルシウムの減耗のリスクは常にあると言うことなのです。
骨粗鬆症のための「緑の処方箋」

 もしもあなたがプロテイン(タンパク質)の摂取量に留意していて、さらに骨粗鬆症を予防する栄養素をもっと摂りたければ私のお薦めする植物性食品をお教えしましょう。
"★"の数は効果の高さの指標です。
★★★ キャベツ(Cabbage /Brassica oleracea)
 ミネラルのボロンは血液中のエストロゲン成分を上昇させ、このエストロゲンは骨組織の維持に役立っています。私の資料によると、キャベツには葉野菜の中でボロンの含有量が最高レベルに位置していて、乾燥重量を基準にすると145PPM含有しています。
 コースロー(キャベツの酢サラダ)はたくさん食べる私ですが、さらに高カルシウムのブロッコリーやケール、豆類や豆腐をサラダに入れたり温野菜サラダにも使うと良いでしょう。キャベツは私にとって「骨強化スープ」の強力な主材料でもあります。
(「骨強化スープ」のレシピーは後ほど記載します。)
★★★ ダンデリオン(Dandelion/Taraxacum officinale タンポポ)
 ボロンについて言えばダンデリオンはキャベツに次いで狙い目です、125PPMも含有しています。ダンデリオンにはまた20,000PPM以上のカルシウムを含有していて、乾燥タンポポを10グラム(大さじ7杯ほど)を摂るだけでボロン1ミリグラム以上さらにカルシウムが200ミリグラムも補充できるんです。おまけにダンデリオンにはシリコンのすばらしい補給源でもあり、骨の強化には大いに役に立つのです。
 私はこのハーブを「骨強化スープ」の材料に入れることをお勧めします。
★★★ ピッグウィード(pigweed/Amaranthus ヒユ、アカザの類)
 乾燥したものを基準にすると、ピッグウィードの葉には5.3%の含有率で野菜の中でもカルシウムの最大の供給源になるでしょう。温野菜にしたこのハーブ10グラムほどで500ミリグラムもの豊富なカルシウムを摂ることが出来る計算です。カルシウムの豊富な植物としては、含有量の高いものから順にシロザ、ソラマメ、クレソン、カンゾウ、マージョラム、セイボリー、ムラサキツメクサの新芽、タイム、白菜、バジル、セロリの種子、タンポポ、スベリヒユなどが挙げられます。
★★ アボカド(Avocado/persea americana)
 野菜とも言われているビタミンDの供給源(しかもおいしい)アボカドは骨にカルシウムをしっかり注入してくれます。実際には高脂肪のためアボカドを意識的に避ける人たちもいますが、もしもあなたがベジタリアンかそれに近い低脂肪の食生活を送っているとしたら特に不都合はありませんが、骨粗鬆症の心配はした方がよいでしょう。
 アボカドをマッシュしたものを無脂肪のコテージチーズかヨーグルトに入れて食します、カルシウムとビタミンDを同時にたっぷりと摂ることが出来ます。アボカドにはさらに心臓病の予防になるビタミンEが豊富なのです。
★★ ソイビーン(Soybean/Glycine max 大豆などの豆類)
 ベジタリアンや日本女性は欧米の女性や肉食主義の女性よりも骨粗鬆症の発症率や骨折の度合いが低いようです。理由として、ケンタッキー大学医学部のJ.アンダーソン博士は肉が主食の欧米式の食事では必要以上のカルシウムが尿に流出して排泄すると説明しているようです。豆類にはプロテイン(タンパク質)の優秀な供給源ですが、肉よりはカルシウムを尿とともに流し出してしまうのを避けられます。
 加えて大豆や豆類にはゲニステインという成分を含有して、植物エストロゲンとして体内で女性ホルモンの様な働きをするのです。調剤エストロゲンは骨組織の維持や心臓病の予防に役立つのですが、反面乳ガンのリスクが上昇します。豆類からのゲニステインにはガンのリスクを上昇させることもないし、豆類の食事も過食しないように注意していればエストロゲンの錠剤と同じように骨を強化したり心臓病の予防になるのです。
「骨強化スープ」
 このレシピーは骨粗鬆症の予防のために可能な方策を経済的に低コストで成し遂げる事を熱心に研究する女性のためにはアピールするでしょう。魚の骨や野菜には豊富なカルシウムと種々の疾病を予防するいろいろの栄養素がたっぷりと含まれているのです。
 深くて大きめの鍋に数リットルの水とともに食べ残しの魚の骨を入れます。(魚の骨が小さいときは綿布袋に入れておき、後で取り出しやすくしておきましょう。)
沸騰するまで待ってからふたをしてトロトロと30分ほど煮ます。
この中にみじん切りにしたキャベツ(キャベツの芯も捨てないで)、タンポポの生葉、セイヨウイラクサの生葉、パセリ、ピッグウィード、パースレーン(スベリヒユ)を2つかみを入れます。(セイヨウイラクサを栽培していて収穫するときには手袋をはめた方がよいでしょう。生葉には細かい棘がありますが、調理するとなくなります。)
生葉が少し柔らかくなるまでさらに煮込みます。
塩こしょうと季節の味わいとしてあなたのお好みの味付けをしてください。
盛りつける前に魚の骨を除きます。
このスープにアボカドのスライスとブラックペッパーをトッピングしても良いです。
保存しておいて豆料理のスープなどにも使えます。
 内容たっぷりの「骨強化スープ」をたっぷり召し上がると、たっぷりのカルシウムやマグネシウム、ボロン、ベータカロチン(それにビタミンAになるカロチノイド)、ビタミンCや十分なビタミンD、フッ素、シリコンなどの必須ミネラルを摂ることが出来ます。
★ ブラックペパー(Black pepper/Piper nigrum 黒こしょう)
 私の資料によると、ブラックペパーには骨粗鬆症を予防する4種類の成分が含まれます。あなたが胡椒をお好きならば、アボカドや豆スープ、サラダなどにパラパラ振りかけていればこの小さな粒がお役に立つでしょう。
★ ホーステール(Horsetail/Equisetum arvense スギナ)
 フランスでの研究ではミネラルのシリコン(ケイ素)は骨粗鬆症の予防や骨折の治療に役立つとされています。ホーステールは植物の中でもこのミネラルがもっとも豊富、身体に吸収されやすいモノケイ酸という成分の形で含まれているのです。加齢とともに低エストロゲン値はシリコンの体内への吸収能力を低下させます。
 必要な人には毎日350ミリグラムのカプセルを9個まで摂ることをお勧めします。ただし、かかりつけの内科医と良く相談しながらこのハーブを使うことが良いでしょう。もしも、ホーステール茶を摂るようにアドバイスされたときは、水にドライハーブと同時に砂糖をティースプーン1杯入れて煮出すと良いでしょう。(砂糖は植物からシリコン成分をよりたくさん抽出してくれます。)水から煮出して3時間くらいトロトロ煮出します。葉を取り出して、さましてからお飲みください。
★ パースリー(Parsley /Petroselinum crispum パセリ)
 この深緑の料理の付け合わせはほとんど食べられずに捨てられてしまいますが、必須ミネラルのボロンをたっぷり含んでいます。
 乾燥パースリー約100グラムを摂ると有益なエストロゲンのレベルを3ミリグラムほど上昇させることになります。それは人にとっての十分な量ですが、パースリーの一枝でもなかなか有効なのです。私の資料では、パースリーには食材の中で必須ミネラルのフッ素が最高濃度含み、また骨を強化する成分も含有していすのです。
レストランでおいしい料理の付け合わせにおかれたパースリーの一枝をいつも食するように心がけるだけで、あなたの骨を救いさらに吐く息までもさわやかにするのです。